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ネパールのバグマティ川●
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●バグマティ川の存在意義
ゆったりとした生活ができるカトマンドゥ盆地の文明はバグマティ川に依存しています。バグマティ川の左右にヒンドゥ教や仏教の主要な聖地があります。だから、地元住民にとってバグマティ川の存在は非常に大きいです。
バグマティ川は単なる川よりもヒンドゥ教および仏教の聖なる川として位置づけられています。
バグマティ川はいずれ海につながるわけですが、海はネパール人にとって神のような存在でした。死んだ後でも海に行くことができれば天国に行けるとネパール人は信じています。そのため、庶民から王族までも火葬を実行し、その灰をバグマティ川に流します。
さまざまな支流からなるバグマティ川は、水資源として左右の土地において野菜や穀物の栽培や田植えを可能にしています。
バグマティ川で採れる川砂はネパールで建築材として使われます。
カトマンドゥ盆地に様々なお祭りがあり、そのほとんどは悪魔に例えて人形を立てたりします。その人形をバグマティ川に流して初めてお祭りは終了したことになります。このようにバグマティ川は生活文化においても欠かせない存在となっています。 |
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●バグマティ川の今日的な問題
カトマンドゥ住民の生活に密着しているバグマティ川は現在、四つの大きな問題を抱えています。
ひとつはカトマンドゥの住民が利用した下水は直接バグマティ川に流されていて、結果として町全体は悪臭が漂う環境におかれていますし、川自体も見た目だけではなく衛生的にも汚い川となっています。
二つ目は、繊維工場の有害化学物質は直接バグマティ川に流されています。川に遊ぶ子供たちは心配でなりません。
三つ目は家庭ごみをはじめ、ほとんどのゴミは直接バグマティ川に捨てられる傾向があることです。
四つ目は川の両岸に発展した重要な文化遺産は現在管理不足のため崩壊の危険性にさらされていることです。 |
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●バグマティ川の問題への取り組み(バグマティセワソミティの紹介)
バグマティ川の危機対策に取り組んでいる地元市民組織のなかでバグマティセワソミタィの存在が大きいです。
1979年に設立されて以来、貧しい人々に医療サービスを無料同然で提供してきました。
文化的な活動として、火葬の儀式に必要なものは火葬場の近くに揃えて24時間購入可能にしています。そして、火葬場の整備及び管理の役を担っていて、必要に応じて改装もしています。
川辺に発展したお寺の周りに利用可能なスペースはたくさんあります。それを公共の場として使えるように市役所など関係省庁に行ってデモをしたりしています。同時に環境を守るべく下水道や化学物質を直接バグマティ川へ流さないように法的な規制強化の必要性を訴えています。
毎年バグマティフェスティバルを開催し、住民の意識向上する運動を展開しています。 |
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●バグマティ川の保護に関して日本人への期待
バグマティ川は社会文化経済的にもネパール人にとって非常に重要な存在です。だから、ネパール人は自らバグマティ川を取り巻く課題に取り組んで自分たちで守っていかなければなりません。
しかし、ネパール人だけで力が及ばないことも多々あります。
私は、その力不足の分は日本人が補うことができると実感していまして、大いに期待したいです。
それは具体的に、川の浄化に関する協力のことです。
それに関連して、ひとつは下水道の管理技術の協力を期待したいです。その上で、ネパール人は自らが川や上下水道の管をすることができるようになるために、日本の大学や企業から研修生を受け入れてくれることも期待したいです。
そして、日本の数多くの草の根NGOがネパールで活動しているため、その活動の一つとしてカトマンドゥ住民にバグマティ川に対する意識向上のプログラムも盛り込んでくれることを期待したいです。
それから、日本の都市環境の管理技術はカトマンドゥ盆地を環境にやさしい都市にするために応用できますのでそれ関連の協力も期待したいです。
さらに、ネパールは開発援助として日本から資金援助をもらっています。バグマティ川管理のための特別援助枠を期待したいです。
最後に、川の管理や文化保全の分野で実績をもつ日本のNPOとネパールのバグマティ川問題に取り組んでいる団体とのネットワーク構築を期待したいです。 |
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